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札幌建築マニアが選ぶ札幌建物散歩に最適のガイド本

札幌の楽しみ方のひとつに、古い建物を観て歩く「建物散歩」があります。歴史の浅い札幌ではありますが、明治以降に造られた建造物には魅力的なものがたくさんあるんです。

今回は、札幌建物散歩にぜひ持っていきたい、札幌の建築ガイド本をご紹介いたします。

札幌の建築探訪

一般市民向けを対象として製作された札幌の建築ガイドとして、おそらく完成版だと思われるものが、この「札幌の建築探訪」です。発行元は北海道新聞社で、監修は角幸博さんと北海道建築研究会。

あくまでも一般市民向けの建築ガイドですが、建物の由来や建築意匠についてもしっかりと解説されていて、専門家にとっても貴重な資料となる1冊だと思います。

惜しむらくは1998年(平成10年)の発行と、今となっては内容的にも随分と古くなってしまったということ。建築は生き物なので、このようなベーシックなガイド本は、できればこまめな更新をお願いしたいところです。

さっぽろ再生建物案内

札幌建築鑑賞会によって製作された建物ガイドです。2000年(平成12年)に初版、2003年(平成15年)に第2版が発行されていますが、その後の発行はないみたいです。

この本の特徴は、古い建築の中でも喫茶店やレストランなどとして「再生」されている建物を取り上げて紹介しているところ。だから、公的施設とか一般住宅などの掲載はなく、古い林檎倉庫やタマネギ倉庫をリノベーションしたお店が、たくさん登場しています。

お店として再利用されているということは、一般市民の見学も可能ということなので、カフェ巡りと建築巡りを一緒に楽しめちゃいます。

北の建物散歩

越野武さんと北大建築史研究室の監修による建築ガイドです。北海道新聞社から1993年(平成5年)に発行されています。

この本の特徴は、建物が写真ではなくてイラストで紹介されているということ。建物の特徴を分かりやすくイラストで描くことで、建物に対する理解を深めてくれます。

札幌だけではなく、北海道内全体の建物が紹介されていますが、札幌の建物が占める割合は、やはり大きいです。

札幌の建物(さっぽろ文庫23)

札幌市教育委員会の監修による「さっぽろ文庫」シリーズからは、1982年(昭和57年)に「札幌の建物」が出ています。児童生徒向けの「さっぽろ文庫」シリーズらしい丁寧な解説がうれしいです。

建物を切り口として、札幌の街に対する子どもたちの興味関心を引き起こそうという趣旨に沿って、非常に分かりやすく札幌の建物の状況が説明されています。

札幌にはこんなに素晴らしい建物があるんだということを知ることで、郷土に対する誇りや愛着が生まれてくるのでしょう。

とよひら煉瓦散歩

地域限定の建築ガイドですが、2005年(平成17年)にとよひら煉瓦発掘会によって発行された「とよひら煉瓦散歩」も充実した内容です。

かつて多くの果樹園があった豊平区には、煉瓦造りの果樹倉庫(林檎倉庫)が各地に残されていて、喫茶店として再利用されたり、今も倉庫として使われたりしています。

より地域に密着して取材されているので、建築という題材を通して豊平という地域を深く理解することができます。かつてこの地域が広大な果樹園だった、そんな時代を建物散歩しながら偲んでみたいですね。

歴史と建物の散歩道

角幸博さんと今村敏明さんの共著による「歴史と建物の散歩道」は、「HTBまめほんシリーズ」というシリーズの小さな豆本で、1994年(平成6年)に北海道テレビ放送から出版されています。札幌の建築だけでは北海道全体の建築が対象ですが、札幌市内の建物も多く紹介されています。

内容は簡単なものですが、本当に小さな豆本なので、建物散歩に持ち歩くにはすごく便利です。

求む!令和の建築ガイド

こうして見ると、札幌の建物ガイドは、2000年前後にちょっとしたブームになっているのですが、その後20年間は大きな動きが見られないといったところでしょうか。

「札幌の建築探訪」が出版されたことで、札幌の建築ガイドとしてはひとつの総括が終わったということなのかもしれませんが、建築好きの素人としては、ちょっと残念な気もします。

考えてみると、2000年頃は、僕自身出版されたばかりの「札幌の建築探訪」を抱えて、札幌市内あちこちの建築を観て歩いていました。

今の若い方々にアピールできるような札幌の建築ガイドがそろそろ欲しいところです。

建物には寿命がある

言うまでもないことですが、古い建物は生き物です。建物には寿命があります。そして、貴重な建物は意外とあっさりと取り壊されたりしてしまいます。

今回ご紹介したガイド本は、いずれも出版から時間が経っているので、お目当ての建物が今も残っているかどうかは、情報が定かではないということに注意しましょう。

いかがでしたか

明治時代に欧米文化の影響を大きく受けた札幌の街には、独自の洋風建築が今も各地に残されています。建築物を通して札幌の街に対する理解を深めてみるのも、楽しいと思いますよ。

そして、札幌建物散歩に出かける際には、事前にガイド本などで予習していくことをお勧めします。見所をしっかりとチェックして、建物に逢いに行きましょう!

ABOUT ME
ケルス
ケルス
札幌ソロ活代表。18歳のとき、住みたい街ランキング1位の札幌に移住。カフェ巡りと文学散歩を軸に、季節の札幌散策を楽しんでいます。好きな言葉は「振り出しに戻る」。