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中島みゆき「札幌SNOWY」言葉にならない雪を見せたい

札幌SNOWY

札幌SNOWY

雪の降る夜だった。僕は寒さから逃れるように急ぎ足だった。激しい雪は僕の心まで冷たくさせていた。

大きな道路を越えて真新しいマンションを過ぎたときだった。突然懐かしい記憶が僕の中をよぎった。雪の中で立ち止まると、そこに小さな路地があった。

降りしきる雪の中でホテルの古いネオンが輝いていた。ホテルは小さな路地の奥にあるらしい。路地の薄明かりに誘われるように道の奥へと歩いていたとき、懐かしいメロディが、僕の胸の中で聞こえた。

札幌SNOWY。
「まだ好きになってくれないから帰れない」と中島みゆきが歌っていた。

あれは、1991年のことだったろうか。SMAPがデビューして、Jリーグが発足した平成3年。あれから、随分長い時間が経過し、僕はいくつもの冬を「札幌SNOWY」と一緒に越えてきたような気がする。

古いものが嫌いで新しいものが好き。それが札幌人気質と言ったら言い過ぎだろうか。だけど、この街の人たちは流行に敏感で、そして飽きっぽいということは、たぶん間違いじゃない。

この街は、いつでも未来を目指して発展に挑んできた。リトルトーキョーとも呼ばれた。いくつもの時代を、街は姿を変えながら乗り越えてきた。

そんな街だからこそ、不意に懐かしい風景に出会ったとき、僕はいつでも少し戸惑ってしまうのだろう。降りそそぐ雪が僕を混乱させ、古いホテルの明かりが僕に懐かしいメロディを思い出させる。

札幌SNOWY。あの人に言葉にならない雪を見せたい。
札幌SNOWY。降りしきるあの雪の中の素顔を見せたい。

ホテルのネオンサインは降りしきる雪の中で静かに灯りながら、道行く人々を路地の奥へと誘っている。路地の奥には小さな店の灯が、いくつか並んで見える。闇の奥へと降りそそぐ雪の中から、誰かの息遣いが聞こえるような気がした。

札幌SNOWY。
メロディは間違いなく、この街から生まれている。

ABOUT ME
ささら
ささら
札幌大市民。18歳のとき、住みたい街ランキング1位の札幌に移住。カフェ巡りと文学散歩を軸に、季節の札幌散策を楽しんでいます。札幌ステラプレイスが大好き。
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