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札幌初夏の風物詩「さっぽろライラックまつり」誕生秘話!

ライラックまつりのライラック

昭和34年に始まった「さっぽろライラックまつり」は、今年で61回目となりました。札幌の初夏の風物詩として、なくてはならない存在となった「ライラックまつり」の誕生について振り返ってみましょう。

ライラックまつりの発案者は札幌の文化人

「ライラックまつり」の開催を最初に提案したのは、市役所でも観光業界でもありませんでした。札幌を中心に活動していた文化人のグループが、「ライラックの季節に大通公園に集まって、ビールでも飲みながら歌ったり踊ったりしようじゃないか」と言い始めたのが最初だと言われています。

大通り公園のライラック大通り公園のライラック

ちなみに当時の資料を読むと、発起人として、更科源蔵(詩人)、国松登(画家)、栗谷川健一(画家)、渡辺茂(郷土史家)らの名前が残されています。

札幌市は「ライラックまつり」に反対

ところが、最初にこの企画を提案された札幌市役所は、「そんな遊びに大通公園を貸すことはできない」と言って、全然相手にしてくれなかったそうです。企画がどうにか実現に向けて動き出したのは、この文化人グループの中にいた、NHK札幌放送局の社員の人がきっかけでした。

ライラックまつりの開催を報じる北海道新聞(昭和34年3月14日)ライラックまつりの開催を報じる北海道新聞(昭和34年3月14日)

結局、NHKが主体となって、札幌市や札幌観光協会、北海道文化団体協議会と共催する形で、とうとう企画は実現。昭和34年5月29日から31日までの3日間、こうして最初の「さっぽろライラック祭」が開催されました。

「ライラックまつり」は文化イベントだった

「ライラックまつり」は、文化人の発案による文化的なイベントということで、当初はまさに地元の文化人たちが中心となって運営されていました。第1回ライラックまつりのイベントメニューを見てみましょう。

・ライラック放談会(更科源蔵、栗谷川健一、国松登、渡辺茂)
・「ライラックの歌」発表、朗読、斉唱
・文化講演会(小林秀雄、高見順、館脇操ほか)
・ライラック植樹祭
・NHK歌の祭典(藤山一郎、石井好子ほか)
・ライラックの歌指導(藤山一郎)
・野原ページェント(市内のバレエ団体)
・仮装パレード(市内の文化団体)
・仮装舞踏会

最初から最後まで、見事に文化的なイベントで埋められています。

ライラック祭りについて報じる北海道新聞(昭和34年5月25日)ライラック祭りについて報じる北海道新聞(昭和34年5月25日)

仮装パレードには、発起人のほか、本田明二(彫刻家)や河野広道(考古学者)、九島勝太郎(音楽家)らも参加していたそうです。戦後の札幌では文化的なイベントが、市民からも熱望されていたんでしょうね。

更科源蔵さんの回想

さっぽろライラックまつりの発祥経過については、発案者の一人である詩人・更科源蔵さんが詳しく残しています。

私たちの間でライラック祭をしようと言い出したのは、今はフリーライターになっている当時NHKにいた斉藤道一君と、敗戦に荒れた札幌神社の花見というものを見に行った帰り、あまりにむごたらしく乱れた花見客が、一町おきくらいに男女を問わず酔いつぶて路傍に寝込んでいる姿が、あまりにもあさましかったので、「何か札幌らしい花の咲く季節を喜ぶ行事でも考えようではないか」ということから、「お役所で企画したのでも、学者がすすめたのでもないのに、今ではその花が咲いてない家がないほど市民に愛されて咲き誇っているライラックの花の咲くとき、大通りに集まってビールの乾杯するのはどうだ」と早速準備にかかった。

「ライラック祭」更科源蔵(1984年)

ライラックまつりは、戦後の荒廃した市民の心に、明るい希望の灯を灯したいという気持ちが、発案のきっかけになっていたんですね。

ライラック祭りの開催を報じる北海道新聞(昭和34年5月30日)ライラック祭りの開催を報じる北海道新聞(昭和34年5月30日)

まとめ

現在の「さっぽろライラックまつり」は、すっかりと文化イベントとしての目的を失い、たくさんの観光客を集める観光イベントへと発展しました。世の中が平和になって、人々の暮らしが豊かになったということなのでしょうか。

でも、ライラックまつりが始まった頃の気持ちを、忘れてはいけないような気はします。札幌市民の一人として。

第2回ライラック祭りの開催を報じる北海道新聞(昭和34年5月30日)第2回ライラック祭りの開催を報じる北海道新聞(昭和34年5月30日)
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札幌大市民。18歳のとき、住みたい街ランキング1位の札幌に移住。カフェ巡りと文学散歩を軸に、季節の札幌散策を楽しんでいます。札幌ステラプレイスが大好き。
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