ずっと昔の話になるが、UGGのムートンブーツが男性の間で流行したことがある。
ふわふわもこもこのムートンブーツは、北海道の冬にこそ履くべきブーツのように思えた。
今、あの頃を振り返って、UGGのムートンブーツを北海道の冬で履くときに注意すべき点などを考えてみたい。
メンズにムートンブーツのブーム到来
メンズのムートンブーツが流行したのは、2014-2015の冬ではなかっただろうか。
あの頃、どこの店にも、UGG定番の「クラシックミニ」というムートンブーツが並んでいたものだ。
シープスキン素材でできた、ミドル丈のブーツである。

そもそも、UGGは、1970年代後半にアメリカ西海岸のビーチで誕生したブランドらしい。
海上がりのサーファーが、まだ濡れている素足を突っ込むのに、シープスキンブーツはさぞかし快適だったことだろう。
2012年、UGGはメンズラインを発表、日本国内でも多くのセレクトショップに、UGGのメンズブーツが並んだ。
シープスキンブーツの魅力は、あの「ふわふわ」「もこもこ」のボアにある。
冬には最低気温がマイナス10度を下回り、最高気温も氷点下のままだという、極寒の北海道で、UGGのシープスキンブーツは絶対無敵のように思えた。
多くの北海道人が、UGGのシープスキンブーツを、真冬の絶対的エースとして歓迎したのだ。
アバハウスで買ったUGG「クラシックミニ」
その年、僕は札幌ステラプレイスの「アバハウス」で、UGGの「クラシックミニ」を買った。
仕事帰りに通りかかったとき、アバハウスの店頭にメンズUGGが並んでいるのを見つけて、いよいよメンズの間でもムートンブーツが流行するのかと、少し驚いた気がする。
北海道においてムートンブーツは、冬の女子高校生の定番ブーツだったから。
流行しそうな気配があったこともあるが、UGGのシープスキンブーツは、いかにも暖かそうに思えた。
顔なじみのスタッフは、自分も買ったけれど、すごく暖かいですよ、というようなことを言った。
多くのアパレル・スタッフは「自分も買ったけれど」とか「自分も持っているけれど」といったセールストークを得意としている。
「雪道で大丈夫ですか?」と訊くと、店員は「当店ではソールの貼り替えをお勧めしています」という。
ソールの貼り替えは、アバハウスでは対応していないので、パセオにある「シュリーの店」に持ち込むといい。
UGGの靴はサーファー御用達だと聞いていたから、やはり、北海道の凍結路面で歩くことは難しいのだろう。
「もうひとつ、気を付けることがあります」と、彼は言った。
「雪道を歩く前に、必ず防水スプレーをしてください。アッパーのスエードは、水に濡れるとシミになりやすいので」
ビーチで生まれたシープスキンブーツが、水に弱いということは知らなかった。
その日、僕は黒い「クラシックミニ」を購入したけれど、「シエリーの店」には行かなかった。
雪の上を歩く以上、ソールの貼り替えは間違いのない店を選ぶ必要があると、僕は考えていたからだ。
靴底に詳しいわけではないけれど、安易に作業をしない方が良いように思えた。
スワロフスキーとコラボしたUGG
その週末、僕は妻と二人で札幌三越へ出かけた。
クリスマス・プレゼント用に、妻にもシープスキンブーツを買おうと思ったのだ。
妻はUGGがスワロフスキーとコラボレーションしたグレーの「クラシックミニ」を選んだ。
ブーツを買うとき、靴売り場の店員は「当店では靴底の貼り替えをお勧めしています」と言った。
「札幌三越」には「ミスターミニット」という靴修理の店がある。
有料にはなるが、雪道を歩く前に靴底は、やはり貼り替えた方が良いらしい。

結局、妻のUGGと一緒に、僕は自分のUGGを三越の「ミスターミニット」へ持ち込んで、雪道用のソールに貼り替えるように注文をした。
雪道用ソールには、いろいろな種類があり、値段もそれぞれ違う。
「一番滑らないやつ」というと、店員は一番高い(4,000円した)ガラス繊維製のソールを勧めた。
札幌の冬にUGGのブーツを愛用して分かったこと
その冬、僕はソールの貼り替えを済ませたシープスキンブーツを愛用した。
モコモコのインナーは、札幌の冬でも十分に乗り越えることができるほどに暖かい。
モコモコなしの靴なんて、もう履けないと思えるくらいに。
一方で、貼り替えをしたソールは、凍結路面で意外と滑るので、アイスバーンの道を歩くときには、十分な注意が必要だった。
貼り替えをした靴底だから、UGGの問題ではない。
札幌の凍結路面で滑らない靴を探すということが難しすぎるのだ。
もうひとつ、分かったことがある。
気温の低い日にサラサラ雪の上を歩く分には問題ないが、少し気温の高い日にベタベタ雪の上を歩いていると、スエードのアッパーはあっという間に濡れてしまう。
濡れたブーツはインナーにまで水が浸み込んできて、さらに靴下までも濡らしてしまうのだった。
濡れ方がひどいと、スエードのアッパーにはシミができてしまう。
一冬愛用しているうちに、僕の黒い「クラシックミニ」にも、いくつかのシミができてしまった。
雪道でシープスキンブーツを愛用するなら、毎日防水スプレーを使ってケアした方が良いかもしれない。

次の冬が始まる前に、僕はUGGのシープスキンブーツをメルカリに出品した。
1シーズンヘビロテして、フワフワモコモコのインナーボアも少しへたってきて、いくつかの小さなシミもできていたけれど、ブーツは程なく売れた。
最終的な売却金額は9,300円だった。
まとめ
UGGのシープスキンブーツを北海道の冬で履くときに気を付けること、それは「靴底の貼り替え」と「防水スプレー」である。
本来、UGGのシープスキンブーツは、アメリカ西海岸のサーフカルチャー発祥だということを忘れてはならない。
凍結路面と雪解け道を避けることで、UGGのブーツは札幌の冬をもっと活躍できるかもしれない。
妻は、スワロフスキーのシープスキンブーツを、今も大切に保管している。
シミができてから登場回数は大きく減ってしまったけれど、女性にとってUGGのシープスキンブーツは、やはり特別の存在らしい。