旧・札幌ピープル

<道の駅 三笠>名物「八列トウキビ」と石川啄木の「焼きトウキビ」

名物「八列トウキビ」と石川啄木の「焼きトウキビ」

大通公園は「さっぽろオータムフェスト」で盛り上がっていますが、開拓時代から札幌の秋を代表する食べ物として玉蜀黍(とうもろこし)があります。

北海道では「トウキビ」と呼ばれるトウモロコシは、札幌の秋を代表する庶民の食べ物の一つです。

札幌のトウモロコシが、ここまで有名になった理由として、石川啄木の影響を忘れることはできないでしょう。

石川啄木と札幌の焼きトウキビ

石川啄木は、1907年(明治40年)9月14日から26日まで、札幌に滞在した経歴を持つ著名な歌人です。

啄木が滞在した季節、札幌はまさしくトウモロコシの旬の時期でした。

しんとして幅廣き街の
秋の夜の
玉蜀黍の焼くるにほひよ

代表歌集『一握の砂』に収録された「玉蜀黍」の歌は、多くの札幌市民に愛誦される人気作品です。

「幅廣き街」というのが、いかにも明治時代の札幌の街並みを表していますね。

ところで、当時、石川啄木が食べたトウモロコシは、現在流通しているトウモロコシとは、随分品種が異なっていたようです。

開拓使が導入したのはフリントコーン(硬粒種)の種子で、明治時代はおもにこの品種が栽培され、当初は食糧として作られましたが、開拓が進んでからは農耕馬や鶏の飼料にも利用されました。開拓地では最初米ができず、入手も困難だったので、とうきびにじゃがいもやかぼちゃ、豆などをまぜたものが主食でした。(略)優良品種には「ロングフェロー」「札幌八行」「黄早生」などがありましたが、戦後農業の機械化が進むとともに次第に姿を消し現在は栽培されていません。(茜会編「札幌の食いまむかし」)

戦後は、甘くて美味しいトウモロコシが作られるようになって、昔のトウキビはすっかりと姿を消してしまったようです。

啄木が、もしも現在のトウモロコシを食べたら、さぞかしびっくりすることでしょうね(笑)

もっとも、昔のトウキビの味を知っている人は、昔のトウキビの方が美味しかったと感じるものらしいです。

そのころのトウキビは現在、私たちが食べているものとは違い、甘さもぐーんとうすく、歯にべったりとひっつくようなこともなかった。ゆでたり、焼いたりするのは同じだが、歯ごたえもしっかりし、そこはかとない甘さで、正直言って、戦前のトウキビの方がおいしかったように思えてならない。(重森直樹「定本北海道たべもの歳時記」)

「歯応えがあって、そこはかとない甘さ」というのが、昔のトウキビの特徴だったようです。

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「道の駅 三笠」名物「八列トウキビ」

ところで、現在は姿を消してしまった昔のトウモロコシを、現在でも食べることができる場所があります。

それは、札幌から旭川へ向かう国道12号線沿いにある「道の駅 三笠」です。

「道の駅三笠」の「及川農園」では、昔ながらの「八列トウキビ」を焼いた焼きトウキビを食べることができます。

「八列トウキビ」とは、その名のとおり、実が八列に並んでいるトウキビで、現在では、ほとんど栽培されていないという、かなり貴重な幻のトウモロコシです。

石川啄木の季節を迎えて、早速、八列トウキビを食べに「道の駅三笠」まで訪ねてきました。

「及川食堂」は人出不測のため臨時休業中でしたが、トウキビは、食堂の裏で販売しています。

「やきとうきび」は食堂の裏側で販売している「やきとうきび」は食堂の裏側で販売している

さすがに、人気の名産品とあって、トウキビ売り場の前には行列ができています。

焼きトウキビ400円、生トウキビ200円。

せっかくなので、その場で焼いたやつを食べるほかに、生のトウキビをお土産用に買って帰りました。

焼きトウキビは、その場で皮を剥いたトウキビを炭火で焼いて、たっぷりと濃い塩水をハケで塗ったものです。

さすがに昔のトウキビだけあって、実が硬い!

道の駅三笠の八列トウキビ道の駅三笠の八列トウキビ

モチモチしているというよりは歯応えがあるという感じで、久しぶりにあごが疲れました(笑)

実が二列ずつ隙間を空けて並んでいるので、実がびっしりと詰まった現在のトウキビよりも食べやすいことは確か。

生トウキビの方は、なかなか粒の揃ったものがなかったらしく、半端なやつを組み合わせて一本分の値段で売っていました。

やっぱり、難しいんですね、昔のトウキビの栽培って。

それでも、秋の空の下、昔風の焼きトウキビを食べていると、石川啄木が詠んだ「玉蜀黍の焼くるにほひよ」の歌を思い出しました。

現在、大通公園のワゴンで販売しているのは、もちろん、現在人気の甘くて柔らかい品種です。

最近は冷凍ものもあって、季節感に乏しいトウモロコシですが、一番美味しいのはやっぱり今の季節です。

オータムフェストもいいけれど、かつて石川啄木が食べたという札幌の焼きトウキビを、この季節に味わってみてはいかがでしょうか。

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ABOUT ME
kels
札幌住み歴38年目。「楽しむ」と「整える」をテーマに、札幌ライフを満喫しています。妻と娘と三人暮らし。好きな言葉は「分相応」。