ビールと古本のお店「アダノンキ」に行ってきたのでレポートします。
アダノンキは古本とビールのお店
「アダノンキ」はビールを飲むことのできる古本屋さんです。
あるいは、古本も売っているビアバーかもしれませんが。
以前は、札幌中心部の電車通りに面したビルで営業していたのですが、老朽化に伴うビルの解体により、移転を余儀なくされたということです。
新しい「アダノンキ」には、まだ行ったことがありませんでしたが、移転後の「アダノンキ」もなかなか良い雰囲気だという噂は、各方面から入ってきています。
大きな期待と不安を胸に、「アダノンキ」まで古本探しの旅に行ってきました。
ゆりや食堂もあるドレイジャータワー
新しい「アダノンキ」は中心部から離れて、札幌医科大学にほど近いエリアにあります。

ビルの名前は「ドレイジャータワー」という何やら近未来的な名称で、以前の「アダノンキ」のイメージとは少し違うような感じ。
もしかして、都会的な古本屋さんに変身したのかもしれない、「アダノンキ」。
地下鉄を降りて、住所を頼りに「ドレイジャータワー」を目指しますが、どうも南一条の表通りに面したビルではなさそうです。
中通りに入っていくと、かつて「ゆりや食堂」のあった古い建物がなくなっています。
とうとう、この辺りも再開発で変わってしまうのかもしれませんね。
寂しい気持ちで中通を進んでいくと、ありました、「ドレイジャータワー」。
最新のタワービルかと思ったら、いやいや、長い歴史を感じさせるような、貫禄ある6階建てのビルです。
後で調べてみると、1987年竣工のエイティーズなシティビルでした。
おまけに、さっきなくなったと思った「ゆりや食堂」が、このビルの1階で営業しています。
いやいや、なかなかディープなビルですね、「ドレイジャータワー」。
俄然、やる気が沸いてきました。
1970年代の古本屋にタイムスリップ
「アダノンキ」は「ドレイジャータワー」の5階にあるので、小さなエレベーターにゴトゴト揺られて上がっていきます。

こういう古いビルのエレベーターって、なんだか緊張しますよね(笑)
エレベーターを降りると、すぐに「古本とビール アダノンキ」が登場。
初めてのお店っていうのも緊張するんですよね。
こういうディープなお店の場合は特に(笑)
ドアを開けて店内に入ると、すぐ右手にカウンターがあって、先客が一人ビールを飲んでいます。
お店のスタッフは夫婦と思しき中高年の男女が1組で、カウンターの中で客と談笑しています。
客と店主との距離感がめちゃくちゃ近い感じです。

管理人は純粋に古本探しの旅の途中なので、カウンターを通り過ぎて古本の棚を見て歩きます。
以前のお店よりも古本の在庫はかなり充実しているような印象。
まあ、前回の訪問も、随分と昔のことになってしまうのですが。
古本の品揃えにはオーナーのこだわりを感じます。
希少本を揃えているというわけでないものの、リサイクル本ばかりというわけでもない雰囲気。
掘り出し物を探すには気分が高揚するお店です。
棚と棚との間隔は非常に狭くて、棚の本を1冊ずつチェックしていくのは、なかなか骨が折れます。
棚の下の方にある本は、正直に言ってかなり見にくいです。
おまけに、店内はまるでビアバーのごとく薄暗くてムーディーなので、背表紙の文字が見づらいこと。
でも、昭和時代の古い古本屋のイメージたっぷりなので、雰囲気を楽しむには、この方が良いのかもしれませんね。
客同士がすれ違うのも難しいレベルですが、幸い他に古本を探す客はありませんでした。
店内にはBGMのラジオ放送とともに、酔客と店主夫婦との会話が延々と続いています。
偶然だと思いますが、研ナオコの「窓ガラス」が流れてきたときは心臓がドキドキしました。
本当に1970年代の古本屋にタイムスリップしたと言われても、全然おかしくないレベルだったので。
北海道出身の作家・小檜山博の随筆集を購入
1周目は雰囲気を楽しみ、2周目でじっくりと本探しに集中しました。

どうやら品揃えとしては、昭和後期の趣味本が多いようで、マニアックな文学書はあまり多くはないようです。
1970年代の芸能雑誌とか興味ありますが、キリがない世界なので、これまで手を出してこなかった分野です。
悩んだ挙げ句に、結局、北海道出身の作家・小檜山博の随筆集を選んで購入。
そういえば、途中で若い男性が一人入ってきたかと思うと、カウンターに座って一人静かにビールを飲み始めていました。
ビールのカウンターに古本を持って行くと、酔客の視線が一瞬こちらに集中して、ちょっと緊張(笑)
古本屋というよりも、やっぱりビアバーなのかもしれませんね、「アダノンキ」。
お店を出て、再び小さなエレベーターにゴトゴト揺られて、下界へと復活。
70年代タイムスリップの旅は、1時間ほどで終了となりました。
なかなか札幌の古本屋さんにはない雰囲気で、これはこれで楽しかったです。
古本を探すというよりも、お店のムードそのものを楽しむ古本屋さんなのかもしれませんね。
1970年代が恋しくなったときには、また訪ねてみたいと思います。
まとめ
最後に、「古本とビール アダノンキ」のおすすめポイントをまとめておきます。
・古本よりもビール
・1979年代の雰囲気が濃厚
・古本探しはお宝探しの気持ちで
令和の時代に「アダノンキ」のようにディープな空間が、札幌市内で息づいているということは、正直に言ってひとつの奇跡のようなものだと思います。
古本の匂いを嗅ぎながらビールを飲みたい方に、絶対お勧めですよ。
