緊急事態宣言は解除されたけれど、人混みの中へ入るのはまだまだ不安。
そんなときこそ、文学散歩を楽しんでみませんか。
6月の札幌はとても過ごしやすい気候なので、作家の足跡を訪ねて回る文学散歩にもぴったりです。
今回は、札幌文学散歩の楽しみ方について、ご紹介します。
ちなみに、文学散歩に正確な定義はありません。
文学的な観点から散歩を楽しむことができれば、それが文学散歩です。
ただし、ちょっとしたポイントを押さえておくと、文学散歩がより充実したものになりますよ。
札幌出身の文学者の生誕地を訪ねる
もっとも基本的な文学散歩は、札幌出身の文学者の生誕地を訪ねるというものでしょう。
一人の作家の生まれた家の跡地を訪ねて、作家が暮らしていた時代を偲ぶという楽しみ方は、文学散歩の基本的なものです。
あらかじめ、その作家の生い立ちなどを調べて、どんな時代を過ごしてきたのかということなどについて学んでおくと、現地を訪れたときの感動が大きくなります。
森田たま、船山馨、島木健作、石森延夫、久保栄、竹林無想庵などの札幌出身作家の生誕地には、文学碑(説明板)が設置されているので、初心者にもお勧めです。
札幌在住の文学者の居住地跡を訪ねる
札幌で暮らしたことのある文学者の居住地跡を訪ねるのも、文学散歩の楽しみ方のひとつです。
有島武郎や石川啄木、新渡戸稲造、クラーク博士などの居住地跡には、文学碑(説明板)が設置されているので、文学散歩にも便利です。
文学碑は設置されていなくても、宇野千代のように研究が進んでいる作家や、原田康子のように現代まで存命していた作家については、居住地跡を訪ねることが可能。
札幌で暮らしたことのある文学者の作品には、なにかしら札幌の匂いがあるような気がします。
旅行で札幌を訪れた文学者の足跡を訪ねる
明治以降、札幌には多くの文学者が足を運んでいます。
講演旅行でやってきた芥川龍之介、高校教員として修学旅行生を引率してきた宮沢賢治など、札幌を訪れている文学者に注目すると、文学散歩の幅が広がります。
個人的に、札幌文学散歩の醍醐味は、札幌を訪れている著名な文学者の足跡をたどることにあるような気がします。
文学者の動向に詳しくないと難しいので、文学散歩上級者向けのメニューです。
小説の舞台を訪ねる
札幌を舞台にした小説は数多くあります。
好きな小説に登場している実在の場所を訪ねる、いわゆる「聖地巡礼」は、文学散歩の王道とも言えます。
小説の中で登場する喫茶店を訪ねたり、ローカルな散策コースを歩いたりするのも、文学散歩の魅力です。
地元新聞で連載された小説の中には、あえてローカル色を強く打ち出したものがあり、その時代の札幌を知る上でも、貴重な資料となります。
渡辺淳一「リラ冷えの街」や三浦綾子「ひつじが丘」などは、札幌という土地が生んだ名作と言えるでしょう。
日記や随筆の舞台を訪ねる
小説以上に記録的な意味を持つのが日記や随筆などの散文です。
作家というのは、様々な場面で短い文章を書くことを求められているもので、新聞や雑誌、業界紙などには、いつの時代も作家の文章が掲載されていました。
感じたことや体験したことを書く随筆には、札幌に旅行したときの話題などが、意外と描かれやすいものです。
古い新聞や雑誌を何気なく読んでいると、書籍化されていないような短いコラムを見つけてうれしくなるときがあります。
文学碑を訪ねる
札幌市内の随所に文学碑が設置されています。
例えば、大通公園には石川啄木や有島武郎、吉井勇の文学碑があるなど、文学碑を巡る散歩だけでも、なかなか充実した文学散歩ができます。
天神山(平岸)や偕楽園(北区)にも石川啄木の文学碑があるなど、文学者ゆかりの場所ではないところにも、文学碑は設置されているので要注意。
札幌市内の文学碑を全部回り終える頃には、立派な文学散歩マイスターです。
文学館を訪ねる
札幌には文学館がふたつあります。
北海道立文学館と渡辺淳一文学館です。
どちらも中島公園の近くにあるので、アクセスはとても便利です。
文学館には、地元の作家に関する情報が集積されているので、文学好きの方にはぜひとも活用してほしいもの。
特別展だけではなくて、常設展の中にも新しい発見はありますよ。
特別展の際に作成される図録は、資料として貴重なものが多いので、必ずチェックしましょう。
図書館を訪ねる
札幌市内の各地域には公立図書館(図書室)が設置されているので、有効に活用しましょう。
特に、札幌市立中央図書館には「北方資料コーナー」があって、北海道や札幌市に関する書籍がまとめて並べられていて、札幌文学散歩のネタ探しにぴったり。
古い新聞を調べるときにも図書館は大活躍してくれますよ。
住所としては江別市内になりますが、北海道立図書館にも貴重な資料がたくさん所蔵されています。
真駒内にある「六花文庫」は、お菓子メーカーの「六花亭」が運営する民間の図書館です。
ブックカフェを訪ねる
蔵書が豊富なブックカフェを訪ねるのも、文学散歩の楽しみ方のひとつです。
「WORLD BOOK CAFE」や「Brown Books Cafe」のようにブックカフェを店名に冠しているお店以外にも、「MORIHICO.STAY&COFFEE」や「北菓楼札幌本店」のようにブックカフェ並に本がたくさんあるカフェもあります。
売り物の本を併設のカフェ店内で読むことができる書店も、ひとつのブックカフェみたいなもの。
コーヒーを飲みながら文学に親しみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
札幌文学散歩は決して難しいものではなく、一部の人たちだけのための特別な楽しみでもありません。
すべての札幌市民が、日常生活の中で文学に親しむことできる。
札幌はそんな街にふさわしいような気がします。