シティライフ

老舗の中村屋旅館前。ドングリの転がる道、晩秋のアカナラ並木を歩く。

老舗の中村屋旅館前。ドングリの転がる道、晩秋のアカナラ並木を歩く。

植物園と道庁との間に並ぶアカナラ並木が見ごろを迎えています。

イチョウほど派手ではないものの、これもやっぱり札幌の秋の風物詩。

アカナラは、意外と歴史のある街路樹なんですよ。

中村屋旅館前に続くアカナラ並木の歴史

道警本部庁舎の裏に続くアカナラ並木。道警本部庁舎の裏に続くアカナラ並木。

北大植物園から北海道庁まで東へと向かう北3条通り。

中村屋旅館と道警庁舎との間に挟まれたその小さな通りに、アカナラ並木がある。

イチョウのように派手なスターではないが、アカナラもまた、札幌の秋を彩る風物詩の一つだろう。

村野紀雄『札幌の並木』(北海道大学図書刊行会、1982)によると、札幌のアカナラは、明治24年に北アメリカのアーノルド植物園から送られてきた果実(ドングリのこと)が始まりで、札幌市内で見られるアカナラ並木は、北大植物園で育てられた一世の子孫たちだと言われている。

植物園正門前から道庁までの間に見られる並木はおよそ六〇歳と後に補植されたもののわずか一九本で構成されているが、堂々とした形姿をもち、道行く人々に大きな存在感を与えている。(村野紀雄『札幌の並木』)

現在も、このアカナラ並木は19本のままなのか確認しなかったが、わずか一丁だけの短い通りなので、大きなアカナラが並んでいれば、間違いなく存在感はある。

中村屋旅館前に続くアカナラ並木。存在感は抜群だ。中村屋旅館前に続くアカナラ並木。存在感は抜群だ。

むしろ、道警庁舎と中村屋旅館・北海道水産ビルとに囲まれた狭い通りを、大きな街路樹が埋め尽くしているような圧迫感さえあるくらいだ。

それにしても、『札幌の並木』が出版された1982年(昭和57年)から40年が経過していることを考えると、北3条のアカナラ並木には、樹齢100年を超える老木もあるということだろうか。

写真で見るかぎり、1982年に比べて、現在の並木の方が圧倒的に大きく感じられる。

歴史を感じさせるアカナラの大木。これは道警本部側のもの。歴史を感じさせるアカナラの大木。これは道警本部側のもの。

それにしても、1982年の写真っていうのは、随分古いものなんだなあ。

写っている自動車がクラシックな(平べったい)セダンで、ナンバープレートも「札55」とかある。

ちなみに、1982年放映のテレビドラマ『北の国から』には、アカナラ並木沿いにある「中村屋旅館」が登場している。

残念ながら、アカナラ並木は出てこないが、大通公園やススキノなど、懐かしい札幌を見ることができて楽しい。

ここの北3条通りにはパーキングメーターが設置されていて、自分も時々利用しているが、頭上からドングリが落ちてきて、自動車の屋根にぶつかることが珍しくない。

足下を見れば、確かにすごいドングリの数で、しかも、一粒一粒が大きい。

このドングリは北海道在来のミズナラやカシワのものより大きいので、子供たちのよいおもちゃになる。葉も大型で深い切れ込みがあり、表には光沢があってきれいである。(村野紀雄『札幌の並木』)

中心部で、これだけ自然を楽しむことができるのも、札幌の魅力のひとつ。

『北の国から』の聖地巡礼も兼ねて、アカナラ並木の散歩なんていうのも楽しいかもしれない。

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kels
札幌住み歴38年目。「楽しむ」と「整える」をテーマに、札幌ライフを満喫しています。妻と娘と三人暮らし。好きな言葉は「分相応」。