旧・札幌ピープル

いなむら一志「ゴキゲン曜日はいつも」土曜日の朝は「遊々アウトドア」から始まった

いなむら一志「ゴキゲン曜日はいつも」~「遊々アウトドア」から始まる土曜日の朝

いなむら一志さんのCD『ぼくは空の下 大地の上 君のそば』を買ってきました。

「遊々アウトドア」の挿入歌が収録されたアルバムです。

HTB(北海道テレビ)「遊々アウトドア」

HTB(北海道テレビ)で「遊々アウトドア」というテレビ番組が始まったのは、アウトドアが全国的にブームとなっていた1994年(平成6年)のこと。

毎週土曜日の朝に放送されていて、フォークシンガーのいなむら一志(稲村一志)が出演していました。

簡単に言えば、歌手のいなむら一志が、局アナの女性と一緒に、様々なアウトドア体験に挑戦するという番組で、4年間も続いたところをみると、それなりに人気があったのではないかと思います。

いなむら一志のアルバム『ぼくは空の下 大地の上 君のそば』(1997年) いなむら一志のアルバム『ぼくは空の下 大地の上 君のそば』(1997年)

北海道出身のミュージシャン 稲村一志

稲村一志さんは、北海道出身のフォークシンガーです。

1949年、夕張市生まれで、十勝管内の清水高校を卒業後、北海道教育大学札幌校に進学。

大学時代に結成したフォークロックバンド「第一巻第百章」でプロデビューを果たし、地元・北海道を中心に、ラジオのパーソナリティなどとしても活躍しました。

生涯、北海道に密着した活動を続けましたが、2014年1月、岩見沢市内のスタジオで亡くなっているところを発見されます。

享年64歳でした。

「遊々アウトドア」に出演した野田知佑と辰野勇

当時はアウトドアがブームの時代ということで、アウトドアに関する番組が多かったような気がします。

NHKでは「日本つり紀行」という番組があったし、毎回ジョン・ビーマンなる俳優が登場する外国のアウトドア番組もありました(何ていう番組だったかな?)。

「遊々アウトドア」の主役はいなむら一志だったけれど、いなむらさんは、決してアウトドアが得意だったというわけでありません。

むしろ、アウトドアのことなんかよく分からない初心者が、達人からアウトドアの流儀を教えてもらうといった視点で、番組が構成されていたようです。

最も印象に残っているのは、カヌーイストの野田知佑さんがカヌー犬ガクと登場したときで、このときは、みんなで十勝管内の歴舟川をカヌーで下るという内容でした(当時、歴舟川は日本で一番きれいな清流と言われていた)。

モンベルの辰野勇さんなんかも同行していて、「遊々アウトドア」も立派な番組に成長したなあと、いたく感心したことを覚えています。

歌詞カードにはキャンプする稲村さんの写真も掲載されている 歌詞カードにはキャンプする稲村さんの写真も掲載されている

もっとも、毎週何らかのアウトドアを体験しなくてはならないので、冬のスケート場で、牛乳と卵を入れた空き缶を腰からぶら下げながらスケートをしてアイスクリームを作ったりとか、およそアウトドアとは関係のないネタも少なくありませんでした。

三菱自動車の提供で、番組の終わりに三菱のRV車が登場して視聴者にPRするのもお決まりで、アウトドアのベテランらしいおじさんが、焚き火の横でノースマン(千秋庵)を食べているテレビCMなんかも印象深いですね。

土曜日の朝の民放らしい、罪のないアウトドア番組。

それが「遊々アウトドア」という番組だったのではないでしょうか。

いなむら一志『ぼくは空の下 大地の上 君のそば』

今回、ご紹介するCDは、「遊々アウトドア」の挿入歌を収録した、いなむら一志のアルバム『ぼくは空の下 大地の上 君のそば』(1997年)です。

当時、観ていた「遊々アウトドア」のテーマソングは、いなむら一志が歌う「ゴキゲン曜日はいつも」でした。

鳥は歌い 木々はそよぐ
さわやかな気分に 誰もが声を交わす
「ごきげんいかが どちらまで?」
ゴキゲン曜日は風まかせ
あなたとならば どこまでも
YOU YOU YOU YOU YOU
どこまでも どこまでも

「ゴキゲン曜日はいつも」いなむら一志

この曲は「ぼくの一番君が一番」のカップリングとして、1995年にシングルCDも発売されています。

雲が夢で 花は笑顔 風とおしゃべり
君の魔法にかかって
ぼくは鳥のように歌うよ

君が君らしく 君の君らしさ みせてくれるだけで
ぼくもぼくらしく ぼくのぼくらしさ 君にみせるだろう
ぼくのいちばん それは君が 一番好きなもの
夜空いっぱい きらめく星を 君はみつめて
雨を降らせる穴なんだと いつもの口ぐせ

「ぼくのいちばん君が一番」いなむら一志

それから、「ハックルベリー気分」なんていう曲も、番組の中ではよく流れていましたね。

だからハックルベリー
きっとツリーハウスにもどろうよ

「子供が生まれた 俺も親父さ」
久しぶりのやつの手紙
言葉の間にただよっている
少しだけの淋しさ
感じているのは お前だけじゃない
空の青さに 気づいていても
空を高さを 見上げていても
いつか はばたく夢を忘れている

「ハックルベリー気分」いなむら一志

どの曲も北海道らしい大らかさを感じさせる曲で、カントリー&ウエスタンをベースにして、アウトドアにマッチするようなアルバムに仕上げられています。

今は亡きいなむら一志と、懐かしき90年代アウトドアブームの記憶を呼び起してくれる、貴重なCDではないでしょうか。

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kels
札幌住み歴38年目。「楽しむ」と「整える」をテーマに、札幌ライフを満喫しています。妻と娘と三人暮らし。好きな言葉は「分相応」。