札幌の冬にはパラブーツが適している。
札幌の街ではいつの頃からか、そんな都市伝説が定着するようになりました。
果たして、パラブーツは本当に冬の札幌に適しているのか。
今回は、パラブーツと札幌の冬の相性について検証してみたいと思います。
札幌の冬に似合う革靴をお探しの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
そもそもパラブーツとは
今さら感がありますが、そもそもパラブーツとはどんなブランドなんでしょうか。
パラブーツは1908年(明治41年)に創業したフランスの靴メーカーです。
公式サイトには次のような解説がありました。
“Paraboot”という名前は、その由来からアングロサクソンの響きを持っています(テラックスを輸入するアマゾンの港「Para」と創業者Rémy Richard(レミー・リシャール)がアメリカ合衆国で発見した「ブーツ」を組み合わせたものです)。
今も昔もずっと100%フランス製です。一世紀以上もの間、私たちは職人芸を支えるツールを守り続け、貴重なノウハウを保存してきました。その功績ゆえに、Richard Pontvert(リシャール・ポンヴェール)は無形遺産企業“Entreprise du Patrimoine Vivant”の登録を受けています。
1927年以来Parabootは、ラバーソールの大部分を今もなお自社製造しています。ブレイク製法で作られる他のモデルは、本社でデザインされ、近隣諸国の工房で製造されます。そこで必要とされる特殊なノウハウは、残念ながらフランスでは失われています。
Saint Jean de Moirans工房では、グッドイヤ-製法、ノルヴェ-ジャン製法、そして一部ブレイク製法の靴が製作されています。必要な手作業は150工程余り。1908年創立当時そのままなのです!
年月をかけてファミリ-企業は、ノルヴェ-ジャン製法やグッドイヤ-製法といった、最もオ-ソドックスな製法を守り続けてきました。それが我が社の名声「長く使えて、履き心地よく、仕上がりよし。時代を超えた魅力」を永続させているのです。
職人によるフランス製にこだわり続けている老舗靴ブランド、それがパラブーツといったところでしょうか。
さて、それではどうしてパラブーツは、札幌の街に適していると言われているのでしょうか。
パラブーツの故郷は雪国
パラブーツが生まれたのはフランス南東部にあるイーゼル県の県庁所在地の街グルノーブル(Grenoble)。
グルノーブルはアルプスの麓に位置していて、1968年には冬季オリンピックが開催されています。
1972年に冬季オリンピックが開催された札幌とは気候的にも風土的にも共通点が多い雪の街なんですね。
ちなみに、札幌の北緯は43℃でグルノーブルは45℃と、緯度がほとんど同じということも札幌とグルノーブルの共通点。
雪の降る北の街で生まれたパラブーツだからこそ、札幌の街にも適しているということが言えそうですね。
パラブーツはラバーソール
パラブーツの大きな特徴のひとつがオリジナルのゴム底です。
1926年、パラブーツの創設者であるレミー・リシャール・ポンヴェールは、アメリカ行きの船の中で、アメリカ人が履いていたラバーブーツに興味を持ちます。
そして「ラテックス」「ヘヴェア」または「ゴム」と呼ばれるまったく新しい素材を、フランスの新しい工場へ持ち帰りました。
レミーは履き心地が悪くて、すぐに劣化してしまう革製ソールの代わりに、ラバーソールを用いることを発案しますが、その実用化には様々な苦労があったと言われています。
現在、パラブーツのラバーソールは、パラブーツアイテムの象徴として世界的な評価を得ています。
こうしたパラブーツのラバーソールは、「雪の上でも滑りにくい」「靴底から水が染み込まない」「雪面の冷たさが伝わりにくい」「足裏の体温が逃げにくい」などのメリットを持っているため、積雪地方でも有効とされています。
パラブーツは靴底が厚い
そのラバーソールのパラブーツは、いずれも厚い靴底を有しています。
積もった雪の上を歩くと、当然雪は足元を濡らしてしまうので、靴底はできるだけ高い方が雪道では有利です。
パラブーツの靴底は多少の雪の上でも歩けるくらいの高さを持っているので、雪の日でも安心だと言えそうです。
ちなみに、シャンボードのソールにはエアクッション入りのヒール(「パラテックス」と呼ばれています)を装着しているので履き心地も抜群。
パラブーツはリスレザー
パラブーツのもうひとつの大きな特徴、それがリスレザーです。
リスレザーというのは、カーフレザーにたくさんのオイルを染み込ませたワックスレザーのことで、大量のオイルを含んでいるために撥水性に優れているというメリットがあります。
そして、パラブーツの革靴は「ノルヴェイジャン製法」という登山靴を製造していたときに培われた技術をそのまま応用しているので、登山靴並みに頑丈。
さらに、ステッチにストームウェルトというレザーテープを組み合わせることで、防水性を完璧なものに仕上げているのです。
オイルの沁み込んだリスレザー、登山靴と同じノルヴェイジャン製法、ストームウェルトというレザーテープ。
こうした技術を集積することでパラブーツの革靴は、札幌のように雪の中を歩くことが想定される場面でも充分に対応可能な革靴となっているんですね。
雪の降らない東京あたりでも、リスレザーは防水性が高いことから、雨の日にはパラブーツを履くという人も多いみたいです。
札幌の冬をパラブーツで過ごしてみた
以上のような神話(理屈)を信じて、実際に札幌の冬をパラブーツで過ごしてみました。
僕が愛用しているのは、ラバーソールとリスレザーで定評のある人気モデル「シャンボード(CHAMBORD)」です。
結論から言うと、シャンボードは札幌の冬でも充分に通用する革靴でした。
人並み以上に冬道で転びやすい管理人ですが、シャンボードは雪の上でも滑りにくくて、シャンボードで転んだことは一度もありませんでした。
また、多少の雪道を歩いても靴の中まで濡れるようなことはなくて、リスレザーの防水性はさすがだなあと思いました。
もちろん、雪の上を歩いているからと言って、足が冷たくなるようなことはありません。
気になる点と言えば、くるぶし部分の隙間から冷気が入ってくることくらいですが、これはブーツでも履かない限りは仕方ないことだと思います(それが嫌な人はサイドゴアブーツを選ぶ)。
むしろ、シャンボードの履き口は十分な高さを確保しているので、他の革靴に比べると防寒性に優れていると言うべきかもしれませんね。
ただし、パラブーツは雪の中を積極的に歩く靴ではなく、札幌中心部のように除雪機能がしっかりとしている地域に向いているということは確か。
札幌中心部は地下街や地下通路の整備が進んでいるので、雪の中を歩く場面も意外と少ないものです。
管理人も、そういう札幌中心部での活動を中心としてパラブーツを利用しているので、札幌郊外の雪道などでパラブーツが適しているかどうかは、また別の問題だと考えています。
いずれにしても、登山靴由来と言われるパラブーツの堅牢性は確か。
2年履きこんでも全然劣化は感じられません。
決して安くはない靴ですが、丈夫でオシャレで格好良いということを考えると、投資する価値は全然ありなのではないでしょうか。
まとめ
それでは最後にパラブーツが札幌の雪道にも適していると言えるポイントをまとめてみました。
・パラブーツの故郷グルノーブルは札幌と同じ雪の街
・ラバーソールは雪道でも滑らないし冷たくない
・リスレザーは撥水性が高いので雪が染み込まない
北海道の冬靴選びのコツは「濡れない・滑らない・冷たくない」です。
アルプスの麓の街で育まれてきたパラブーツには、この3要素が充分に備わっているということが言えそうです。
なお、北海道の冬靴の選び方については、別記事「道産子の僕が実践している北海道の冬靴の選び方」も併せてご覧ください。
https://sukidesu-sapporo.com/2019/01/07/fuyugutu/
以上、参考になれば幸いです!
